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JavaScriptは、プログラミング言語の一種です。 HTMLの中で使用すると、読込む毎に異なる表示をさせたり、 表が簡単に作成できたりして、HTMLだけでは表現できないような効果が得られます
JavaScriptは文法を Javaという言語に似せて設計された(Javaの文法は Cに似ているので Cに似せた、とも言える)言語ですが、 Javaとは全くの別物です。 Javaは本格的なプログラミング言語ですが、 JavaScriptは、 ちょっとした簡単な作業を記述するための、いわゆるスクリプト言語です。 コンパイルすることはできないので、効率は全く期待できませんし、 大きなプログラムを作成するのにも向いていません。
しかし、 JavaScriptは Cや Javaに文法が似ているため、 Cや Javaを知っていると、 簡単に JavaScriptのプログラムを書くことができますし、 逆に JavaScriptを知っていると、Cや Javaを容易に習得することができます。
HTML文書の中で JavaScriptを使うケースとしては、次の 2通りがあります。
(参考)後者のケースの例 |
JavaScriptは <script type="text/javascript">〜</script>というタグの間に書きます。
<script type="text/javascript">
ここにJavaScriptのプログラムを書く。
</script>
通常は JavaScriptに対応していないブラウザが JavaScriptをそのまま出力してしまうことをふせぐために、次のように HTMLのコメントの間に JavaScriptのプログラムをはさみます。
<script type="text/javascript">
<!--
ここにJavaScriptのプログラムを書く。
// -->
</script>
//は -->を JavaScriptの命令の一部として扱わないように、 -->を JavaScriptのコメントとして扱うための小技です。
実際に HTMLを出力するためには、 document.write(〜) という命令を使います。
JavaScriptは大文字と小文字を区別するので、 注意します。
ソース | 表示 | 備考 |
---|---|---|
<script type="text/javascript"> <!-- document.write("<b>こんにちは</b>"); // --> </script> |
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<script type="text/javascript"> <!-- document.write(1+2+3+4+5); // --> </script> |
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もちろん、このような例なら実際にはわざわざ JavaScriptを使うまでもありません。 しかし、次のプログラムは実行時によって出力が変わる例です。
ソース | 表示 | 備考 |
---|---|---|
<script type="text/javascript"> <!-- document.write(new Date()); // --> </script> |
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document.writeのようにデータ(上の例では "こんにちは"など)を渡すとデータに応じてある処理をしてくれるものを、 関数と呼びます。関数に渡すデータを 引数(ひきすう)と言います。 関数を呼出す時、引数は括弧の中に書きます。引数が複数ある場合はコンマ 「,」で区切ります。
セミコロン「;」は文の終りを示します。 document.write(new Date())のような形(関数の呼出し)は、 式と言って文の構成要素でしかありません。 式のあとにセミコロンをつけて文として完結します。
文は上(左)から順に実行されます。 普通は 1行に 1文を書きますが、1行に いくつも文を書くことも可能です。 JavaScriptは C言語と同様、特別な場合(二重引用符の途中など)を除いて、好きな場所で改行することができます。
プログラムは、最初はどこかに間違いがあってうまく動かないのが普通です。 うまく動かない時は、Netscape Navigatorの場合は、 「場所:」にjavascript:と入力します。 どの場所で間違いが起こっているかがメッセージとして表示されます。
プログラミング言語で "変数" (variable )と言う時は、 計算結果を一時的に記憶しておくための、 記憶領域を指します。(数学の方程式の"未知数"とは全く異なる概念です。)
変数を使うためにはまず、変数を "宣言" しておく必要があります。 JavaScriptは変数は次のように宣言します。
var 変数 = 初期値;
変数が複数の場合は、
var 変数1 = 初期値1, 変数2 = 初期値2, ..., 変数n = 初期値n;のようにコンマで区切ることもできます。
一度宣言しておけば、あとは変数の名前を書くだけで変数に入っている値を利用することができます。
(以降の例ではソースの中の
<script type="text/javascript"> <!-- // --> </script>は省略します。)
ソース | 表示 | 備考 |
---|---|---|
var str = "暑い! "; document.write(str+str+str); |
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変数の名前には次の文字が使用できます。
!! 実はこれは、C言語の変数名の規則です。 本当は JavaScriptはこれら以外の文字も使えるのですが、 C言語と同じと覚えておいた方が良いでしょう。
なお、var, if, forなど JavaScriptにとって、 特別な意味をもつ単語(キーワード)は変数名として使用できません。
変数は後でその値を変更することができます。 これを代入といいます。代入は、「=」演算子を使って、
変数 = 式と書きます。
ソース | 表示 | 備考 |
---|---|---|
var str = "暑い! "; document.write(str+str+str); document.write("<br>"); str = "涼しい "; document.write(str+str+str); document.write("<br>"); str = "めちゃ" +str; document.write(str+str+str); |
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代入も文法的には "式"になるので "文"にするには最後にセミコロン 「;」が必要です。
JavaScriptプログラムの中にも注釈(コメント)を書くことができますが、 HTMLのコメントとは書き方が異なります。 プログラムを実行する時にはコメントの部分は無視されます。 (空白と同じと見なされます。)
JavaScriptのコメントは /*と */の間、もしくは //からその行の終りまでです。 (Cのコメントは /*と */の間のみ。)
いつも同じ決まり切ったことをするのでは、 わざわざプログラムを書く意味があまりありません。 ある条件が成り立つかどうかによって処理を切り替えることを 条件判断と言います。
JavaScriptでは条件判断は次のような形で行ないます。
if (式) 文1 else 文2または
if (式1) 文1
式1が成り立つ時は文1を、さもなくば文2を実行します。else〜のない形は式が成り立たない時は、何もしません。
"文"はブロックと呼ばれる形
{ 文1 文2 ... 文n }(つまり中括弧の中に文を複数並べてひとまとまりにしたもの) でも構いません。(むしろその方が普通です。)
elseのあとにまた if文が来る形:
if (式1) 文1 else if (式2) 文2 ... else 文nもよく使います。
ソース | 表示 | 備考 |
---|---|---|
var date = new Date(); var hour = date.getHours(); if (hour < 18) { document.write("こんにちは"); } else { // 18以上の時 document.write("こんばんは"); } |
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var date = new Date(); var hour = date.getHours(); if (hour < 12) { document.write("おはようございます"); } else if (hour < 18) { document.write("こんにちは"); } else { // 18以上の時 document.write("こんばんは"); } |
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条件式には次のような演算子が使用できます。
演算子 | 分類 | 例 | 備考 |
---|---|---|---|
==(等しい)、!=(等しくない) | 等価演算子 | x==0 | 代入演算子「=」と混同しないこと | <, <=, >, >=(不等号) | 比較演算子 | x<10 |
&&(かつ) | 論理演算子 | 0<x && x<10 | 比較演算子よりも優先順位が低い |
||(または) | 論理演算子 | x<0 || 10<x |
コンピュータは人間ならとてもできないような回数の繰返しを、 一瞬に行なうことができます。 繰返しを使うことにこそプログラムを書く意義がある、 といっても言過ぎではありません。
JavaScriptでは繰返しは次のような形で書きます。
while (式1) 文1
式1が成立つ間、文1の実行を繰返します。 (最初から式1が成立たないときは、文1は 1度も実行しません。)
ソース | 表示 | 備考 |
---|---|---|
var i=0; while (i<10) { document.write(i+","); i++; } |
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なおこの例のように、変数を繰返しの最後で変更するという形はひじょうに良くあるので、
for (式1; 式2; 式3) 文1という for文も良く使います。これは、まず最初に 式1 を 1回だけ計算し、式2が成立つ間、 文1と式3の実行を繰返します。
``for(i=0; i<N; i++) 文''という形は、 iが 0から N-1まで、計 N回、文を繰返します。
ソース | 表示 | 備考 |
---|---|---|
var i; // 初期値のない変数宣言 for (i=0; i<10; i++) { document.write(i+", "); } |
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ソース ─ 数表をつくる
document.write("<table border>"); document.write("<tr><td>i</td><td>i<sup>3</sup></td></tr>") var i; for (i=0; i<10; i++) { document.write("<tr><td>"+i+"</td><td>"+i*i*i+"</td></tr>"); } document.write("</table>");
表示
備考
「*」はかけ算の演算子(割り算の演算子は「/」)。
数学の記法と異なり、かけ算の演算子は省略できない。
ソース ─ 文字によるグラフ
var x, y, i; for (x=0; x<=16; x++) { y = x*(16-x); for(i=0; i<y; i++) { document.write(" "); } document.write("*<br>"); }
表示
ソース ─ グラデーション
var i, c; for(i=0; i<64; i++) { c = 0xc00000 + i*4; document.write("<font color=\"#"+c.toString(16)+"\">*</font>"); }
出力
備考
配列(Array)とは、(同じ種類の)データを複数集めて、 ひとまとまりにしたデータです。JavaScriptでは配列は次のような式で作成します。 (Cとは全然書き方が異なります。)
new Array(要素0, 要素1, ..., 要素n)JavaScriptでは(Cでも)配列の最初の要素は 0番目と数えます。n個の要素がある配列は、0番目から n-1番目の要素まであるわけです。 配列の k番目の要素は 配列[k]という式で取り出します。
ソース ─ 今日は何曜日?
var youbi = new Array("日", "月", "火", "水", "木", "金", "土"); var date = new Date(); var day = date.getDay(); document.write("今日は、"+youbi[day]+"曜日です。");
出力
プログラムの中で同じような処理を何度も行なう必要があるのなら、 その部分を関数にして、再利用できるようにします。 関数の定義は次のような形で行ないます。
function 関数名(変数1, ..., 変数n) { 文1 ... 文n }
この関数を、式1, ..., 式nを引数として呼び出すと、引数の計算結果を順に対応する変数1, ..., 変数nの初期値として、 文1, ..., 文n の部分を実行します。 実行が終ると、関数を呼出したところの続きに戻ります。
ソース | 表示 | 備考 |
---|---|---|
function writeNtimes(str, n) { // 文字列 strを n回表示 var i; for(i=0; i<n; i++) { document.write(str); } document.write("<br>"); } writeNtimes("*", 1); writeNtimes("*", 2); writeNtimes("*", 3); writeNtimes("*", 4); |
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return 式;値を返す関数を定義する時は return文を使います。 return文は関数の実行を終了し、 式の計算結果を関数呼出しの値として、呼出し側に制御を戻します。
ソース | 表示 | 備考 |
---|---|---|
function fact(n) { // nの階乗(factorial) var i, kotae=1; for(i=1; i<=n; i++) { kotae=kotae*i; } return kotae; } document.write("4の階乗は " + fact(4)); document.write("<br>"); document.write("6の階乗は " + fact(6)); |
ちなみにJavaScriptでは関数の中で別の関数の定義をすることもできます。 (Cではできません。)
if文を使って、3〜5月なら「あけぼの」、 6〜8月なら「よる」、9〜11月なら「夕暮れ」、 12〜2月なら「つとめて」と表示する JavaScriptを書け。
(現在の月は、var date = new Date(); var month = date.getMonth()+1;で得られる。getMonth()はなぜか 0〜11の値を返すので 1を足す。)
参考: Dateオブジェクトに対するメソッド
年 | 月 | 日 | 曜 | 時 | 分 | 秒 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
関数 | getYear() | getMonth() | getDate() | getDay() | getHours() | getMinutes() | getSeconds() |
備考 | 西暦 | 0が 1月 | 0が日曜 |
「今から 45分後は ?時?分です。」 と表示する JavaScriptを書け。例えば現在時刻が 14時30分なら、 「今から 45分後は 15時 15分です」と表示する。 現在時刻が 23時45分なら、「今から 45分後は 0時 30分です」と表示する。
nが 0〜16の範囲の整数の時、2nの値を表にする JavaScriptを書け。 (2nは JavaScriptではMath.pow(2, n)と書く。)
30(1+sin(xπ/12)))を xが0〜24の範囲でグラフにする JavaScriptを書け。 (JavaScriptの書き方では 30*(1+Math.sin(x*Math.PI/12))になる。)
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
何を計算する関数かまず考えて、試せ。
function foo(n) {
var i, kotae=0;
for(i=1; i<=n; i++) {
kotae=kotae+i*i;
}
return kotae;
}
document.write(foo(3));
function bar(n) {
if(n>0) {
bar(Math.floor(n/2));
document.write(n%2);
}
}
bar(255);
(Math.floorは切捨てを計算する関数、m%nは mを nで割った余り)