プログラミング I（RISE）・第X部

C言語とは

C言語は今日、最も広く使われているプログラミング言語です。普段、私たちが使っているプログラム（Windowsを含む）の大半は C言語（または C++言語）で作成されています。

プログラミング言語のなかでは比較的機械語に近い演算を持つ（つまり効率を重視している）ことと、構造化プログラミングを支援することが特徴です。（ただし、現在は構造化プログラミングはあまりにも当り前になって、 C言語の特徴と言うほどのものではなくなりました。）

JavaScriptなどと異なり、C言語のプログラムは実行する前に、コンパイルという作業が必要になります。つまり、いちど機械語のプログラムに一括翻訳します。

以下では Windowsでの Cのプログラムの作成とコンパイルの手順を説明します。プログラミング I・IIの授業では、bcc32というボーランド社製のコンパイラを使用します。

Cプログラムの作成とコンパイル

プログラムの作成

Cのプログラムは HTMLなどと同じようにメモ帳などのエディタで作成します。拡張子は通常 .cです。

次のような簡単なファイルを作成して、 hello.cというファイル名で保存して下さい。

#include <stdio.h>

int main() {
  printf("hello world!\n");
  return 0;
}

灰色の部分は C言語の実行に必要な「お約束」で最初のあいだはこの部分は変わらないので、この形のままを覚えておきます。 printfは標準出力（通常は画面）に文字列を出力する関数です。「\n」は改行を表します。

DOSプロンプト

作成したプログラムのコンパイルは DOSプロンプトから行ないます。 DOSプロンプトはキーボードからコマンドを入力して実行する時に使用するウインドウです。通常 DOSプロンプトは「スタート」 ─ 「プログラム」 ─ 「MS-DOSプロンプト」から起動します。ただし、工学部用の環境を設定したパソコンでは、Cのコンパイルをする時は、「工学部メニュー」に「BCC55実行環境」というアイコンがあるので、そちらを利用して下さい。

まず DOSプロンプトの作業フォルダを Cのプログラム hello.cを作成したフォルダに移動する必要があります。フォルダの移動は cd（change directory）というコマンドを使用します。

cd パス

例えば、c:\homeというフォルダにプログラムを作成した時は

C:\WINDOWS>cd \home
C:\HOME>

と入力します。DOSプロンプトが出力する、入力を促す文字列（プロンプト）が、 C:\HOME> に変わるはずです。なお、 \my documentsのようにパスのなかに空白文字が含まれている場合は、パスを二重引用符で囲んで、

C:\WINDOWS>cd "\my documents"
C:\My Documents>

のように入力する必要があります。パスはもちろん絶対パスでも相対パスでも構いません。特に一つ上のフォルダに移動する時は、

C:\WINDOWS>cd ..
C:\

で OKです。

フォルダを移動したら、本当に作成した Cのプログラムのファイルがそこにあるか、確認しておきます。フォルダの中にあるファイルの一覧を表示するには、dirというコマンドを使用します。

C:\My Documents>dir
 ドライブ C: のボリュームラベルはありません.
 ボリュームシリアル番号は XXXX-YYYY
 ディレクトリは C:\My Documents

.              <DIR>        yy-mm-dd  hh:mm .
..             <DIR>        yy-mm-dd  hh:mm ..
（省略）
HELLO    C        81        yy-mm-dd  hh:mm hello.c
（省略）
         ? 個                  ? バイトのファイルがあります.
         ? ﾃﾞｨﾚｸﾄﾘ             ? バイトの空きがあります.

このような感じで hello.cの名前が表示されれば OKです。

コンパイル

コンパイルは bcc32というコマンドを使用します。

bcc32 ソースファイル名

テキストエディタで作成したファイルも、コンパイルの結果できるファイルも、「プログラム」と呼ぶので、前者をソースファイル、後者を実行可能ファイルと呼びます。

C:\My Documents>bcc32 hello.c
Borland C++ 5.5.1 for Win32 Copyright (c) 1993, 2000 Borland
hello.c:
Turbo Incremental Link 5.00 Copyright (c) 1997, 2000 Borland
C:\My Documents>

コンパイルに成功すれば、ソースファイルのファイル名の拡張子だけを .exeに変えたファイルができているはずです。これが実行可能ファイルです。

C:\My Documents>dir
 ドライブ C: のボリュームラベルはありません.
 ボリュームシリアル番号は XXXX-YYYY
 ディレクトリは C:\My Documents

.              <DIR>        yy-mm-dd  hh:mm .
..             <DIR>        yy-mm-dd  hh:mm ..
（省略）
HELLO    EXE      ??        yy-mm-dd  hh:mm hello.exe
HELLO    C        81        yy-mm-dd  hh:mm hello.c
（省略）
         ? 個                  ? バイトのファイルがあります.
         ? ﾃﾞｨﾚｸﾄﾘ             ? バイトの空きがあります.

なお、Bcc32の場合、拡張子が .tdsと .objのファイルもできていると思いますが、これらは中間生成物です。プログラムの実行には必要ありません。

「コマンドまたはファイル名が違います.」というメッセージが出た時は、bcc32が DOSプロンプトの知っている場所（サーチパス）にない可能性があります。 pathというコマンドで確認します。

C:\My Documents>path
PATH=C:\WINDOWS;C:\WINDOWS\COMMAND

pathコマンドに対する出力の中に C:\BORLAND\BCC55\BIN という部分があれば良いのですが、なければこのパスをサーチパスに加えておきます。

C:\My Documents>path c:\Borland\Bcc55\Bin;%PATH%

C:\My Documents>path
PATH=C:\BORLAND\BCC55\BIN;C:\WINDOWS;C:\WINDOWS\COMMAND

実行可能ファイルはそのファイル名を入力すると実行できます。（拡張子の.exeは省略できます。）

C:\My Documents>hello
hello world!

なお、ソースファイルの中に何か間違い（バグ）があってうまくコンパイルできないことの方が普通です。エラーメッセージには何行めがエラーになっているか、という情報が書かれていますので、再びエディタでソースファイルを編集して、コンパイルしなおします。

なお DOSプロンプトでは上矢印キーを打つと以前入力したコマンドが表示されます。もし、そうならない時は doskey/insert というコマンドを一度実行しておきます。

少し長いプログラムをコンパイルすると、エラーメッセージが DOSプロンプトの画面に入り切らないと言うことが起こります。そういう時は、プログラムの出力を画面ではなく、ファイルや他のコマンドの入力に切替えるリダイレクトという手法を使います。

コマンド > ファイル名
コマンド₁ | コマンド₂

「>」の方はコマンドの結果をファイルに出力します。このファイルをテキストエディタで見れば良いわけです。「|」はコマンド₁の出力を、コマンド₂の入力として渡します。コマンド₂としては moreというコマンドが良く使われます。 moreは長いテキストを画面におさまる範囲ずつ表示するプログラムです

C:\My Documents>bcc32 hello.c > error.txt
C:\My Documents>bcc32 hello.c | more

課題

次のプログラムをコンパイルして、実行結果を確認せよ。また、定数の値などを少し変えてコンパイルせよ。
1. ```
#include <stdio.h>

int main() {
  int i;
  for(i=0; i<10; i++) { 
    printf("hello world!\n");
  }  
  return 0;
}
```
2. ```
#include <stdio.h>

int main() {
  int i;
  for(i=0; i<9; i++) { 
    printf("%d行目\n", i);
  }
  return 0;
}
```
3. ```
#include <stdio.h>

int main() {
  int i;
  for(i=0; i<7; i++) { 
    printf("\033[3%dmhello world!\n", i);
  }
  printf("\033[0;5;7m");
  return 0;
}
```
注: 灰色の部分を除けば見た目は Cと JavaScriptは良く似ていることがわかると思います。最初の段階でわかる違いは
1. Cでは変数の型を宣言する必要がある。varではなくて int（整数型）, double（実数型）などを使い分けなければならない。
2. Cでは文字列を +でつなげられない。 "今日は" + i + "日です。"のようなことはできない。代わりに printfでは %d, %fなどの、特別な書式指定を用いる。
3. （当然だが）HTMLのタグは解釈されない。
などです。

プログラミング Iのホームページ,

Koji Kagawa (kagawa@eng.?????)