三月十五日は靴の記念日。一八七〇年(明治三年)のこの日、東京・築地に本 格的な製靴工場が開設された。軍事訓練のため洋靴を輸入したが、幅広、甲高 の日本人の足に合わず、陸軍の創設者、大村益次郎の勧めで国産化を図ったの だという。 大塚製靴顧問の福原一郎さんによると、洋靴は欧化策や戦争などで普及したが、 本当に一般化したのは戦後の半世紀だという。最近でこそ目的や服装に合わせ て靴を替える人も増え、靴選びのアドバイスをする「シューフィッター」も浸 透してきた。だが、歴史が浅く、靴を脱ぐことイコールくつろぐことと考える 日本人は、まだ自在に履きこなしているとは言えまい。 H 8.3.15 「日本経済新聞」のコラム